IT技術者が転職するなら、主に開発スキルを活かせる職場を探すことになる。しかしスタートアップ企業へ転職した場合、当人の思惑に沿った仕事ができるとは限らない。スタッフの数が少ないスタートアップ企業では、一人で複数の業務を担当することは珍しくはない。その結果、技術開発の経験しかないエンジニアが専門外の仕事を任されて、対応に戸惑う場合が往々にしてある。

例えば人手が足りないスタートアップ企業では、技術スタッフが営業や経理事務の仕事を任されるケースが考えられる。その場合、営業活動のためのコミュニケーションスキルやあるいは経理の簿記に関する知識が必要である。この点を踏まえてスタートアップ企業へ転職するつもりであるなら、必要に応じて多様な働き方が出来る対応力を身につけた方が良い。技術開発に専念したいITエンジニアにとってはデメリットが大きいが、視点を変えてみれば必ずしも問題ばかりとは言えない。技術者が営業の仕事を経験してみると、改めてに気づくことが多い。営業活動を経験してみると、営業スタッフたちの苦労が分かる他に、クライアントがどのようなニーズを持っているかも詳しく理解できる。

さらに幅広い仕事のスキルが身に付くと独立して仕事ができる自信が身につき、将来のビジネスの選択肢が広がる。例えば自らスタートアップ企業を立ち上げたり、あるいはフリーランスのITエンジニアとして独立し仕事を始める選択肢も出てくる。